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​【アルバムレビュー】

分かりやすい!

Stonerror 「Widow in Black」

2020.2.16 櫻井螺子

 

今回紹介するのはポーランドの4人組バンドであるStonerrorの2nd「Widow in Black」(2019)だ。

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StonerとErrorを掛け合わせたなんとも神秘的で美しいバンド名である。

この名前にはストーナーロックと様々な時代の音楽を繋ぐクロスオーヴァーによって発生するエラーという意味が込められているらしい。

そんな彼らのサウンドは衝動的というよりも計算的な印象を受ける。

 

彼らの一番最初に出したEP「Rattlesnake Moan」(2015)とファーストアルバムである「STONERROR」(2017)では蜃気楼のような横ノリでどことなく一歩引いたような落ち着きがあった。そうかと思えば急にでかい音を出したり、どこかで耳にしたことがあるようなフレーズがあったりと一筋縄ではいかないようなバンドである。

それでも彼らの魅惑的なギターのトーンを聴いたらもう好きという言葉しか出ない。

 

とりあえず1曲。EP収録のビートルズのカバーである。

これを聴けば彼らの一筋縄ではいかないサウンドが分かるだろう。そういえばこのEPの曲はどれもベースがでかい。

 

STONERROR - Tomorrow Never Knows - live! The Beatles cover

引用元: Stonerror YouTube Channel

 

前述のことを踏まえて今作の話に入る。

一聴しての感想はキャッチーで分かりやすいなというものだった。あと優しくなった。

再生ボタンを押したと同時に現れる祭囃子のようなリズムとベースの低音。そしてジリジリとしたギター。それらは咆哮と共に一気に歯車が噛み合ったかのように曲の始まりを告げるM1「Ships on Fire」は初っ端から聴くものを踊らせに来るのだ。

続くタイトルトラックであるM2「Widow in Black」は民族的なリフを執拗に繰り返しつつも分かりやすいメロディーと曲の構成でサビの最後は絶好の拳の振り下ろしタイミングがやってくる。

 

前半は耳になじみやすいキャッチーな曲群ではあるが、後半は広大な砂漠や美しい洞窟を思わせるようなサイケデリックな演奏が続く。それまでの明るかった雰囲気から梅雨時期のようなジメっとした感触に様変わりする。

 

しかしながらサイケデリック一辺倒にはならない。サビとヴァースの強弱のつけ方や曲の展開が前半の曲よりも豊かで延々とジャムセッションが続くのはちょっと苦手って人でも安心して聴けるような内容になっている。M7「Asteroid Fields」はインストであるが、ゆったりとした波打つフレーズの大小は分かりやすく、この曲の楽しみ方の1つを優しく示しているかのようだ。

 

このアルバムの前半と後半の境となるのが作中最も荒々しいリフを持ったM5「Domesday Call」である。リフ主体の前半とギターソロ中心の後半部分と綺麗に2つに別れたこの曲はそっくりそのまま「Widow in Black」という作品を表しているのではないだろうか。

全体的に漂う焦燥感も相まって手に汗握る1曲だ。

 

トリを飾る「Revelation」は60年代後半のロックっぽい感じの曲で全てを包み込んでくれるような大いなる母性に満ちている。優しく崩壊するラストはこの作品の幕切れを表すと同時にこれらが単なる勢いとノリでできたものではないという意思を感じる。

 

そういえばこのアルバムはコンセプトアルバムだそうだ。最後の曲まで聴けばその意味も分かる。英語が分らなくても音楽は聴くことが出来るし道筋はこの作品が優しく教えてくれるだろう。

最後は今作で最もキャッチーでお茶目なM4「Kings of the Stone Age」で締めよう。イントロで「あっ・・・・」とピンときちゃうナンバー。変なPVもあるぞ。

STONERROR - Kings of the Stone Age (Official Music Video)

引用元: Stonerror YouTube Channel

そういえば彼らのインタビュー記事でKyussやQueens Of The Stone Ageが好きだと書いてあった。分かりやすい!

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