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​【アルバムレビュー】

暗黒的世界観

Electric Wizard 「Dopethrone」

2019.9.12 櫻井螺子

世界で一番ヘヴィなサウンドを演奏するのはどのバンドなのかと考えたことはないだろうか。

2019年現在最もヘヴィなサウンドのバンドはちょっと思いつかないが、その昔世界で最もヘヴィな音と言われたバンドは知っている。

 

Electric Wizardだ。

 

Electric Wizardは90年頃にイングランドで結成されたドゥームメタル/ストーナーロックバンドである。メンバーはギターボーカルのジャス・オボーンと紅一点のギタリスト、リズ・バッキンガム以外は特に安定していない。

『リー・ドリアンをして「世界で最もヘヴィ」と言わしめたエレクトリック・ウィザード』これは彼らの2ndアルバムである「Come My Fanatics....」(1997)の日本盤の帯に書かれていた言葉だ。リー・ドリアンがどういう人物なのかはまたの機会に説明するとして、そう言われてしまうほど彼らの音楽は非常に重たい。それだけではなく、オカルト的でなおかつサイケデリックロックなトリップ感を孕んでいる。

 

今回紹介するのはそんな彼らの3rdアルバムである「Dopethrone」(2000)だ。

electricwizard2.jpg

 

上の画像はDopethroneの頃のElectric Wizardである。今とは違い3人編成だ。目つきが悪すぎる。

 

このアルバムが世に出たのはだいたい20年くらい前であり、その後も様々なバンドが様々なストーナーロックの名作を生み出してきたが、個人的にはこのDopethroneが1番だと思う。

執拗なまでに何度も繰り返されるリフ、暗黒的世界観。音が圧になって容赦なく襲ってくる様に快楽を感じざるを得ない。

 

サウンドはとにかく重くてダウナーだ。M1「Vinum Sabbathi」のイントロのベースだけでも息苦しくなるような圧だ。ジャリジャリした感触のギターはまるで悪事を悪事だと思ってないような殺気を感じる。

 

M1から間髪入れずに始まるM2「Funeralopolis」はオカルティックながらもブルージーなリフの反復が印象的な曲で、ひとたびギターが歪みだすと何でこんなにヘヴィなんだと思うくらいに沈み込んでいく。ゆったりとしたグルーヴに身を委ねていると思考回路が失われていきそうだ。

曲の終盤にはスラッシュメタルでよくあるようなテンポチェンジがあり、グニャグニャとサイケデリックに崩壊する様が楽しめる。この曲はライブでも頻繁に演奏される彼らの代表曲だ。

 

Electric Wizard - Funeralopolis

引用元: Electric Wizard YouTube

個人的にはズルズルと卑屈なリフを叩き続けるM4「Barbarian」がお気に入りだ。ズルズルと引きずるようなサウンドで、客観的にみると淡々としてて地味な曲だ。今回レビューするに当たって改めて正座して聴いてみたが本当に地味だ。でもそれに対して地味だと思わせないほどの没入感、いや中毒性がある。多分Electric Wizardにゾンビにされているんだと思う。

この曲の歌詞は英雄コナンが元になっているが、彼らの曲は何らかの映画や小説を元にしたものが多い。このアルバムの曲を片っ端から和訳してみたがそんな雰囲気を感じる。映画には詳しくないのでこれ以上は分からないが。

 

そんな彼らの歌詞の中でもタイトルトラックでもあるM8「Dopethrone」はストレートに自分らのことを歌っている。これが俺たちだと言わんばかりの内容だ。その前の曲である「We Hate You」が作中で1、2を争うほどの分かりやすい曲なことも相まってこの10分ほどの曲が自然と身体の中に入っていくような感覚が味わえると同時に達成感も味わえる。

この曲も彼らの代表曲であり2018年に来日した際はこのアルバムからDopethrone、そしてFuneralopolisが演奏された。

 

 

Electric Wizardといえば2nd「Come My Fanatics....」か3rd「Dopethrone」といった印象があるが、僕は野蛮で常にヘヴィーなこっちの方が好きだ。

もしよかったら2作とも聴き比べてみてほしい。どちらか片方でも気に入ったならそのままストーナー/スラッジ/ドゥームという底なし沼に足を引きずり込まれるだろう。

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田中千秋楽​

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