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​【アルバムレビュー】

​これはもう最高のひとときだね。

Sleep「The Sciences」(2018)

2018.11.30 櫻井螺子

あっという間に年の瀬ですよ。2018年、どんな年になりましたか?

年始に立てた目標の進捗がいい人もなんだか物足りない人も今年が終わるあと1か月。

私、櫻井から1つの提案があります。

 

 

Sleepの新譜を聴きませんか?

引用元: REVOLVER

 

知る人ぞ知るカリフォルニアの3ピースドゥーム/ストーナーロックバンドだ。

今年来日したので知っている人も多いだろう。

 

そんなSleepが約20年ぶりに発表したアルバムが「The Sciences」だ。

sleep2.jpg

引用元: Sleep Facebook

 

これ、今年中に絶対に聴いてほしい。

とにかく聴いてほしい。CDでもダウンロードでも。もちろんLPでも何でもいい。

1番手っ取り早いiTunesなら1050円だ。

  

 

なぜそんなにプッシュするのか。まずはSleepがどんなバンドでどんなアルバムを世に送り出してきたのか軽く説明する

 

 

1stアルバムである「Volume One」(1991)はブラックサバスのようなスローさとハードコアパンクの激しさにアンダーグラウンドな質感のいかがわしさを兼ね備えた音楽。スラッジコアってやつだね。

「お前もこっち側に来いよ」と言わんばかりの酩酊感バリバリのサウンド。聴いていると意識が迷子になってくる。

 

 

ストーナーロックの名盤と名高い「Sleep's Holy Mountain」(1993)ではブルージーなギターと何考えているか分からないベースが加速し、ハードコアよりもロック色が強くなった(なんとヴァンヘイレンみたいな曲まである)。

このアルバムに収録されている「Dragonaut」を聴けばいかに彼らが強烈な個性を持っているかが分かるだろう。

 

 

ドゥーム神話として語り継がれる「Jerusalem」(1999)はバンドが解散した後、正式リリースされた。これは52分の短縮バージョンであり、後に完全版として「Dopesmoker」(2003)がリリースされた。

 

1つのリフをずっと繰り返す表題曲のみのアルバムとなっており、説明するだけなら簡単だが、底なし沼のように深くて危険な作品だ。語ると日が暮れてしまうので割愛。

レコード会社から貰ったお金を全部マリファナに費やしたなんて都市伝説が生まれたのもこのアルバムだ。

 

 

Sleepが解散したあとは各々の音楽性を突き詰めたようなバンドをやっていくが、2009年に再結成し、2010年に活動を本格的に始めた(その際、ドラマーがChris HakiusからニューロシスのJason Roaderに交代している)。2014年に1曲入りEPが発表されたり、2017年には新譜の噂があったりしたが、遂に2018年Sleepの新作アルバムがサプライズリリースされた。

 

長い間ずっとストーナーロックを追い続けてきた人にはかなりの衝撃だったのではないだろうか。

 

 

ここでようやく本題に入る。

Sleepの「The Sciences」(2018)だ。

 

約20年振りの新譜だ。

 

その間に愛好家たちはギターであるMatt PikeのやっているHigh On Fireを聴いたり、ベースボーカルであるAl CisnerosのやっているOmを聴いたりして今彼らがアルバムを作ったらどうなるのだろうかとか思いを馳せていたのだ。きっとそうだ。

 

Sleepの来日公演を観に行ったり、常に最新の情報を得ていた人にとっては楽しみしかないだろう。

 

約20年分の人々の期待と不安がこの作品には付着されているのだ。しかも前作がドゥーム/ストーナーロックの1つの到達点でもあったことからなおさらだ。

ビッグウェーブってやつだ。是非ともこの期待と不安が付着されているうちに聴いてほしい。

 

 

あと音質がよくて曲も今風な感じがする。2018年の作品なのだから当たり前なのだが、これが5年後とかだったら今風って感じの音も変わるし、この作品の存在感も薄れてしまうだろう。今聴くほどの感動は得られないと思う。

 

音楽は食べ物と同じだ。保存が効くからいつ食べても美味しいがやっぱり獲れたてはもっと美味いよね。

 

 

じゃあ来年はどうなのって話だ。別に来年でもいいと思うが来年は来年で「Jerusalem」が20周年だ。来年はいつもより「Jerusalem」が美味しく感じるのだ。だから来年は僕と一緒に「Jerusalem」を聴こう。

 

 

ああ、肝心の中身について全然書いてなかった。ひとつだけ。

 

僕は1曲目である「The Sciences」の宇宙と交信しているような音を聴くとわくわくが止まらない。初めてこのアルバムを聴いたときからずっとそう。再生するたびわくわくする。

わくわくの絶頂がプツっと切れた瞬間にM2「Marijuanaut's Theme」が流れるのだ。

これはもう最高のひとときだね。

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