MAGAZINE

​【アルバムレビュー】

Radio Moscow『New Beginnings』

をレビューしようとしたらレビューになりませんでした。

2018.10.5  田中千秋楽

おはようございます。田中千秋楽です。


ロックに定義はない。



それはもう何十年も前に誰かが提唱してから、暗黙の了解を通り越して「それに異を唱えること」自体が野暮でナンセンスなものと化している。

それぞれにロックに対する持論があり、それに異を唱える人もいて。でもそれを討論する自由すらも「ロック」にはあって、色んな人の色んな「ロック」が間違いなく今の時代を築いたものであるのは間違いないと思う。人の数だけ、ロックはあるのだ。演る人も、聴く人にだって。



とは言っても、それでロックシーンが平和に片付くんならその後に「パンク」だ「メタル」だ「グランジ」などのジャンルは生まれないわけで、ロックの中でさらに細分化され、そこからさらに細分化されて日々色んな討論や持論が繰り広げられている。


例えばパンクロックにおける「シドヴィシャスは商業的なパンクでしかない。真のパンクはフガジのようなバンドにある」とか

メタルにおける「このバンドはハードコア色が強いのになぜデスメタルの括りでアルバムが紹介されているのか」とか

それこそ、ここで取り上げられているストーナーロックにしたって「クリスコーネルはストーナーか否か」みたいな、ね。



自分もこのウェブマガジンで記事を書く際に色んなストーナーロックに分類されるバンドに触れてきて、少しずつ「ここがこうなって、こうなる」みたいな様式美や、所以みたいなのは分かるようになってきた。

分かるようになってきたんだけど、それでもどうしてもこのバンドだけは、そんな僕の考えを粉々に打ち砕き頭を混乱させてくる。

 

RADIO MOSCOW - New Beginning (Lyric Video)

 

定義なんてしょうもないことやめろよ。とりあえず喰らえよ。

ストーナーロックであることなんて、そう言われてる俺たちですら別にどうだって良いんだぜ。

みたいな


このRadio Moscowというバンドからは、そういう意思みたいなのが聴いて取れる気がするのだ。

引用元: SHELTERD LIFE PR

 

2003年活動開始、アメリカ合衆国アイオワ州のバンド。



いや、最初は先ほど動画を載せた曲の収録されたアルバム『New Beginnings』をレビューしようと思っていたんですが、無理です。こうして書いている今も悩んでる。

そもそも、彼ら音楽性が特異すぎる。特異すぎません?アルバム1枚1枚取ってみてもサウンドの処理から大幅に違ってて、ジャンルもハードコアパンクに寄っていたり、サイケデリックだったり、はたまたブルースだったり、掴み所がなさすぎるんですよ!


そんな彼らが2017年に出したキャリア最新アルバムが「New Beginnings」で、新しい始まりなんて意味深なタイトルつけて飛んでくるサウンドはまた掴み所のないサウンド。

ベースの低音は薄めで、ドラムのビートも重さよりは疾走感重視なのも相まって、歪んだギターリフに痺れるようなシャウトが絡んでも、不思議と聴き疲れしない良い塩梅。しかしバスドラムはしっかりと骨太でバンド全体の重心は決して高くない。


そしてストーナーロックの伝統とも言える3連リズムのリフワークはイントロから炸裂していて、そこはちゃんと僕の知っているストーナーロック的曲展開。



これまでの節操のなさから一転、さながら「これがストーナーロックの新しい始まり」と言わんばかりのサウンド。



僕がこの記事(続・ストーナーとは?)を書く際に実は『New Beginnings』も含めてこのバンドのアルバムを聴いてて、その多彩すぎかつ掴み所のない音楽性に翻弄を通り越して混乱したんです。


というのも、先に書いたように彼ら音楽性が多様でアルバム毎サウンドの質感も違うし、その中の曲もジャンルが多彩すぎるんですよ。同じバンドだと思えないほどに!

 

RADIO MOSCOW - These Days [official]

 

このアルバムなんかはかなりサウンドがすっきりしててギターもファズというよりディストーションの質感で超格好いい。

聴きやすさで言ったらこれまで聴いてきたストーナーロックの中でピカイチ!

 

Radio Moscow - 250 Miles

 

これなんかはブルースの新解釈的な展開に最後はノイズで終わるという超絶な曲だし。


自分もバンドをやっている身として、多少はバンドで曲を作る中でジャンルのばらつきや質感の違いはあれど、こんなに好き勝手やって、かつそれがここまでのクオリティで形になっているバンドってのもなかなか珍しい。

そんなバンドの、最新アルバムをレビューしようと思い、書き始めたはいいがやっぱり難しい。どこから良さを説明したらいいか悩む。

アルバムをレビューするとなるとまずこのバンドのいい意味での節操のなさを説明するのに長くなるし、そうなると結局アルバムはどう格好いいのかを説明するのにまた長くなる。

兎にも角にもまず聴いてこの格好よさに触れてもらうしかないんだけど、そうなるともはや僕のレビューは意味をなさなくなり「全部おすすめ!とにかく格好いい!!」みたいな頭の悪い感想で終わってしまう。

今回レビューしようとした『New Beginnings』も、最新アルバムにしては過去作のような多彩さは控えめでど真ん中一直線のストーナーな印象だったんだけど、如何せんこれまでのアルバムを聴いていた僕は「そこを経ている」というのを知っているが故に、このアルバムをどうやって評価すればいいのか本当に悩む。

例えばこれ、僕じゃない他のライターさんはどう評価するのでしょうか?気になるのでこのウェブマガジンのライターさん、誰でもいいんで僕の代わりにレビューしてください!


こんなにレビューを書くにあたり、悩んだのは初めてだ。

しかし、そうは言っても最低限レビューとしての体裁は保っていなくてはいけないんで、もう使い古された表現になるんだけどこの一言だけ置いていきますね。

 

RADIO MOSCOW - Pacing (Official Video)

 

めちゃめちゃ格好いいよな!

以上、とにかく聴いてくれ。それ以上ない。ギブアップ!!!



ではまた!

引用元: Wikipedia

CATEGORY

PICK UP

pickup3.png

WRITER

田中千秋楽​

Tanaka-Senshuraku

ヤマダ ヒロミチ​

Hiromichi Yamada

櫻井螺子​

Neji Sakurai

ミネラル

Mineral

© 2018 by LITTLE REX QUEEN RECORDS