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​【アルバムレビュー】

​凶悪なゴブリンパンチ

Orange Goblin 「Time Travelling Blues」 (1999)

2018.9.20  田中千秋楽

わたくし、気づいてしまったんです…


散々、記事内で「ストーナーロックの闇」だとかなんだとか言ってきましたが、聴けば聴くほど思うのが「そんな闇など無い!」ということ。


そもそも音楽に対して闇だ光だなんて括ること自体がナンセンスの極み。ファイナルファンタジーじゃあるまいしジャンルごとに炎だ氷だ雷だの属性があり、それぞれに相性や弱点耐性があってみたいな話は結局のところ僕のような『全部ひっくるめて音楽が大好き』な人間にとっては無意味。

敢えてそれで括るなら僕は全属性が弱点。音楽という魔法を喰らった時点で既に大ダメージ、格好良ければ良いほどその威力は増すし、名盤なんて聴いた時にはカンストダメージのオンパレード。15曲入りのアルバムだったら1曲目から9999ダメージの攻撃が始まりそれが15連撃で飛んでくる。ナイツオブラウンドも真っ青なパワーが名盤には秘められている。なんてもん産み出してくれてんだ。


だからもう闇だとかなんだとか言うのはヤメヤメ!等しく音楽は途轍もなく格好いいし、僕みたいな全属性弱点体にとっては闇だなんだとか何も意味を成さない。全てを甘んじて受け入れろ!音楽を!



とは言っても、この記事を読むみなさんが全て僕のような人間でもないので、今までストーナーロックに触れて来ていない方に如何にハマっていただくかを考えながら今もこうしてレビュー記事を書かんとしてるわけですが、ヤバい。これだけ書いといてまだどんなバンドをレビューするのかを一切触れてない。ファイナルファンタジーとか言ってる場合じゃない。




そんなわけで、今回レビューするバンドがこちらのOrange Goblin!
 

引用元: Orange Goblin HP

 

おお!奇しくもゴブリンなんてファイナルファンタジーに出てくる人気モンスターの名前が使われてるじゃないの。今度のバンドは一体何属性なんでしょうか?調べてみることにしましょう!

 

ていうか、アーティスト写真でビール持ってるの激烈にストーナー。写真から伝わってくる「俺達はビール飲みながら聴くことをオススメすんぜ!覚悟はいいな?」感よ。ゴブリンというよりバイキング感よ。
 

Wikipediaは英語のものしかなかったのですが、1997年と結構昔から活動していて、ストーナー界においては重鎮。レジェンドと言っても過言ではないバンドのようです。どうやらイギリスのバンド。残念ながら何属性かまでは分かりませんでした。

引用元: Wikipedia

引用元: BLURREDCULTURE

 

出で立ちはガチムチ、まさにゴブリンの名に相応しい。そんな4人組。その音楽は如何にレジェンダリーなのか?今回はアルバム『Time Travelling Blues』をレビューしたいと思います!

引用元: Orange Goblin HP

 

僕の経験上、イギリスのバンドってどこか様式美があると思うんですよ。ロックにおいてはアメリカよりは行儀が良く美しいバンドが多いなというイメージがあって、そんなイギリスのストーナーロック。一体どんなイントロで幕開けしてくれるのかと再生ボタンを押したところ

 

Orange Goblin - "Blue Snow"

いきなりバイクのエンジン音で曲が始まりました


いや、僕が予想してたのはもっとギターがギャーン!ってね、ファズがかかりながらもコードトーンが損なわれていない綺麗なギターがですね、来るかなと思ったんですけど、見事に斜め上死角からこめかみにかけてパンチが飛んできたような衝撃でした。いやバイクて!ステッペンウルフか!ワイルドすぎか!


と、まだバンドの演奏が始まってもいないのに面喰らったわたくし。冷静さを取り戻しながらも聴き進めていくと、ストーナーロックのバンドと言うより、かなりハードロックに近い質感のバンド。


ギターのサウンドもファズがゴボゴゴゴゴボゴゴ!って地獄のような低音が唸りをあげる感じではなく、どちらかと言うと高音のジリジリとした所が強調されつつ適度にビートに寄り添っている。どちらかと言うとファズよりもメタル系ディストーションのようなギターサウンド。


ビートこそドッシリしてるものの、ボーカルのシャウトは比較的綺麗めの印象で、聴き始めの印象はストーナーロック感はそこまで無い。バイクのエンジン音に面喰らいはしたが、その実バンドサウンドはどこか美しさを感じる。


そして何より上手いなぁと思ったのがイントロ。最初は高い音域でリズムギターを鳴らしてからの低音弦でのリフ展開。最初からE弦解放を鳴らさない美学。敢えて高いところからフレーズを構築するが故に映えてくる低音のリフ。

アルバム序盤によくこの手法を使ってるのが伺えたんですが、これが素晴らしくハードロック的な質感を前に出しながらストーナーロックの根っこは忘れない。ハードロックは好きだけどストーナーは初心者という人にも触れやすいと思う。しかもドラムもなかなかトリッキー、テクニック云々よりも音楽IQが非常に高いよこの人達!


と、序盤で既に心掴まされた。見事なゴブリンパンチ!とかふざけた事思っていたら中盤から終盤にかけてどんどん不穏になってくる…

 

そう。心を掴まれた僕のようなキッズにここぞとばかりに襲い来るストーナーロック特有の3連ビートの凶悪ギターリフ!

Planet Of Zeusを聴いた時も思ったけど、後半からのラッシュが半端じゃない。ここまで来るとわざと最初は聴きやすくしておいて、後半からストーナーの沼に引きずり込まんとする曲展開が世界ストーナーロック連盟(通称WSL)かなんかで決められてるのか?って思えてくる。


でも、同時にこういう工夫って非常に大事だと僕は思ってて、聴き馴染みのあるサウンドから攻めていって少しずつルーツの深い所のサウンドを魅せてく底を見せない芸術性。最初から深い所を見せて理解を得られない可能性をなるべく排除し、多くのリスナーをファンに変えんとするこの細やかさ。

草やら酒やらキメてバカ騒ぎ!みたいなコンセプトではあるが、その裏でしっかりとリスナーを見据えている。非常にインテリジェンス!世界ストーナーロック連盟も太鼓判の出来!さっきからなんなんだよ世界ストーナーロック連盟って。


そもそも20年以上も活動している経験値もあるので、アルバムの展開も、その中の曲一つひとつの展開も頭一つ抜けてる!素晴らしい!!

って思ったんですが、よく考えたらこのアルバム、1999年の作品。

超初期。バケモン過ぎんか!?

いや、バケモンじゃないのか。ゴブリンだったか。


そんなOrange Goblinに見事心を掴まされ魅せられたわたくし。全9曲を喰らって見事にノックアウト。全攻撃9999ダメージ。こんな凶悪なゴブリンパンチ初めて受けました。

9曲しかないのに71分もの長く濃密なひと時。それでいてダレた感じも残さない。またひとつ素晴らしいバンドに出会えました。こうなったら他のアルバムも片っ端から聴くしかない!ひとまず、ストーナーロック初心者には非常にオススメ。これまでレビューしたバンドの中ではイチオシですね!


ただひとつ惜しむらくは、最後まで聴いてもこの人達が何属性かは分からなかったという事だけですかね。


ではまた!

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WRITER

田中千秋楽​

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