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​【アルバムレビュー】

とにかく切ない!切なさが詰まっている。

Truckfighters「V」(2016)

2018.9.3  櫻井螺子

 

僕はファズが好きだ。

ブチブチした音もモコモコした音も好きだ。音圧の壁みたいなやつも好きだ。

そしてファズを多用しているバンドが多いのがストーナーロックだ。

 

そんなストーナーロックの中でもすっげえいいカンジに僕のツボを突いてくるファズサウンドのバンドがいる。

 

彼らの名前はTruckfighters。スウェーデンのバンドである。メインメンバーはベースボーカルのOzoとギターのDangoの2人でドラムが頻繁に動いていたみたいだ。

 

僕が思う彼らのサウンドは「静と動の対比」だ。おとなしいサウンドからファズサウンドに切り替わった時の威力がすごいのだ。

 

それは単にぶっ飛ばすようなパワーがあるという意味ではない。針に糸を通すような正確さで弱点を突かれるような感じだ。この辺はどのタイミングで彼らに触れるかで変わってくるだろう。「Gravity X」(2005)に収録されてある「Desert Cruiser」はいかにもデザートロックな曲であるし、「Universe」(2014)収録の「Mind Control」はなんだかインテリな感じだ。切ない曲や6分を超えるちょっと長めの曲も多い。

 

 

百聞は一見に如かず、とりあえず1曲どうぞ。

 

TRUCKFIGHTERS "Mind Control" @ Desertfest Berlin 2016

 

先ほどインテリな感じと表現した「Mind Control」のライブバージョンだ。(ちなみにこの曲にはPVも存在する。どちらも初めに感じる印象は異なるだろう)

僕はこの動画でTruckfightersを知った。最初の数秒を聞いて何だかあまり好みじゃないと思ったがDangoのファズが炸裂した途端、もの凄く興奮した。その興奮が全て口角に集中した。今観ても興奮する。

 

 

さて、動画を観て(僕が)興奮したところで本題に入る。

今回紹介するのはこのアルバム。

 

Truckfighters「V」

 

 

その名の通り彼らの5枚目のアルバムだ。

 

彼らの作品を全部聴いたわけではないがこれが最高傑作だと思っている。

 

しかし、一発で好きになるようなアルバムではないとも思う。現に僕がそうだった。世間で言うスルメ盤ってやつかもしれない。

 

その理由は「Desert Cruiser」や「Mind Control」のようなキャッチーで常にファズが効いてて、なおかつ何度でもリピート再生して頭を振ってたくなるようなすぐに酔える曲がないからではないかと思う。

 

だがこのアルバムには突出した部分がある。それはどれか1つでも曲を聴けば分かる。

 

TRUCKFIGHTERS - Hawkshaw

 

動画はこのアルバムの2曲目で「Hawkshaw」という曲である。ついつい一緒に歌い上げたくなる。だが元気にロックンロールって感じの曲でもないことが分かる。エモーショナルで切ない感じだ。

さほどシンプルではないベースのリフ。一気にうるさくなるギターとのユニゾン。形を変えながら曲が進行していく様子はまるで1つの物語のようだ。

 

 

このアルバム、全部こんな感じの曲で構成されている。何度書いても書ききれないくらい切ないし、ほとんどの曲のサビは爆発している。そしてファズは胸を貫く。

常にボリュームMAXな音楽ばかりの僕だが慣れてくるとこの温度差がたまらなくなるのだ。

 

 

実話を基に書かれたらしいM1「Calm Before the Storm」から切なさ全開で曲の後半は息をのむ展開のオンパレード。入り込み過ぎると息切れを起こしてしまうくらいにドラマティックだ。この曲だけで「V」という作品に飲み込まれてしまうだろう。

ちなみにこの曲の内容を基にしたPVがあり、それも作品の世界観に没頭する手助けになるが、初めてはアルバムで聴くことをおススメする。

 

続く「Hawkshaw」は切ないながらもサビはキャッチーで切ない。大音量のリフから始まるM3「The 1」は常に切ない。もう切ないしか言えないのである。アルバムの締めにふさわしく壮大ながらも優しくこの作品の終焉を伝えるM7「Storyline」が終わるまでずっと切ないのだ。胸が大変なことになってしまう。

 

 

このアルバムはとにかく切ない!

Truckfightersの切なさが詰まっている。

そしてドラマティックでエモーショナルだ!

 

これは感傷的な気分に浸って浸って浸りまくってズブズブと沈んで夢想していくような作品だ。それはもうストーナーでありドゥームであるのだ!

 

これを聴いている間はなにも出来なくなるから外で聴かないほうがいい!

 

 

 

ちなみにこのTruckfighters、現在は活動していないらしい。彼らのFacebookを読んだところ、すぐに再開するようなニュアンスではないように感じた。もしかしたら解散に近いカンジなのかな。分からん。

英語が得意な人助けて!

 

 

どちらにせよかなりショックだ。切なさ倍増である。

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田中千秋楽​

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