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2018.8.24  田中千秋楽

​【アルバムレビュー】

一緒にベース弾いてもいいですか?

Death Alley 「Superbiar」 (2018)

おはようございます。田中千秋楽です。



のっけから関係ない話をするんですが、皆さんは少年ジャンプって読んだことありますか?


僕は生まれて初めて読んだ漫画が少年ジャンプの「ONE PIECE」という生粋のジャンプっ子なんですが、昔のジャンプって巻末の予告でウソをついてる事が多かったのを知ってますか?


例えば、バトルの途中なのにもかかわらず「次回は仲間の食生活に迫る」みたいな。一目で、嘘だろ?って思うような予告も編集部の悪ノリによって平気でぶっこまれてたんですよ。


おそらく当時はインターネットも発達していませんから、今ほどネタバレも少なかったのでこういう遊びも純粋に楽しめたり笑えたりしたんでしょう。


もちろん漫画家さん側もそれを知ってて、特にギャグ漫画家さんはウソ予告に対してその通りの話を作って載せたりする意趣返しもあったりしたとかなんとか。今じゃひとつのウソすら大炎上に繋がりかねない世の中。現代に必要なのはこのユーモアじゃないかなと思うのです。


で、前回の僕のレビューの最後。少年漫画のような予告で終わりました。タイトルは「田中千秋楽、完全なる闇堕ち」

 

 


あれ、ウソです。



いや、嘘かどうかはまだわかりません。

あの予告をしている時点では、次にどんなバンドをレビューするのかも決めていませんでした。だけど予告だけ先に決めて、その予告の通り書くか、はたまたウソをつくか。みたいなおふざけを勝手にやってました。



でもよく考えたら、これって現代社会じゃ完全に悪手なんですよね。

嘘だった時点で僕は鬼の首を取るが如く咎められそうですし、本当のように書いたとしても(例えそれが本当だったとしても)僕自身はレビューに対して多少なりとも嘘が混ざる可能性がある。完全に自分で自分の首を絞めて死にに行ってる。


このような、どちらを取ってもライターとしては死ぬかも知れない状況で、次にレビューするバンドはDeath Alleyというバンド。


訳すと死の路地。既にバンド名から不穏な空気が流れてる。果たして自分でレビューのハードルを上げて道を狭めていった田中千秋楽。そこに待つのは本当に「死」なのか。今回はDeath Alleyの2018年発表のアルバム「Superbia」をレビューしたいと思います。

 

さて、このDeath Alley

今回もどんなバンドか調べてみたところ、またしてもWikipediaがありません。


なので今回もバンドのホームページのドメインを見るとどうやらオランダのバンドらしい。このくだり定例化しそうだな。

引用元: The Obelisk

 

ギター、弦多くね?

見た感じ、高音弦が12弦ギター仕様になってる。ストーナーロックって低音弦のチューニングを低くしてズンズンやるバンドが多いイメージだったけど、この時点でどんな音楽が飛び出してくるか全く予想がつかない。


なんにしても、聴いてみよう。そこから判断しよう…と、聴いたんですが

 

DEATH ALLEY - Murder Your Dreams

 

ちょっと待て

 

これは、ストーナーロックなの…?


まずなんというか、全体的に音が軽い。

いや、十分過ぎるほどロックサウンドだが、いかんせんこれまで「これがストーナーロックです」と言われ、聴いてきた音楽とは大分違う。


特にギターの音作りで低音が出てない。そしてボーカルが物凄く綺麗。シャウトがこれまで聴いてきたバンドと比べかなりメロディアスなのだ。


かといって、低音が無いかと言われればそうでもない。ギターの音作りがそうなのであって、その代わりと言わんばかりにベースがギターを喰わんばかりのプレイをしている。

 


写真の9弦ギターも、アルバムをよく聴くと曲中にギターの高音が煌びやかな場面がある辺り、ちゃんとバンドサウンドで馴染むように使ってる。
 

 

それにしても、ベースの攻め方が凄い。サウンドを聴く限りかなり歪んだサウンドなのにギターとそこまで音の帯域を被せず、随所でテクニカルなフィルインをかましてきてる。ベースというより「低い音の出るギター」のようなフレーズワーク。昔僕も似たようなことバンドでやったことあるんですけど「歌が歌いずらい」「結局低音だから何をやっているか分かりずらい」「ルートだけ弾いててくれない?」って色んな人に言われました。泣いてません。


 


そんな僕の話は置いといて

 

これまで聴いてきたような、ギターがファズをかけた音で唸りをあげるようにリフを展開し、ベースはそこを埋めるように更に低音を補強するというストーナーロックのバンドサウンドにおける僕の固定概念を、Death Alleyは大きく覆してきた。


今も聴きながらレビュー書いてるんですが、そもそもこのバンド、ギターもベースもかなりテクニカルだ。音作りもそうだけど、かなり70年代のハードロックっぽい。

これ本当に2018年の作品なのか!?


Death Alleyという名前から、勝手に重たい音楽を想像していただけに、このギャップは個人的に半端ない事になってる。出てくるサウンドに死の路地感ゼロ。だだっ広い荒野でハーレー走らせてる。超アメリカ的ワイルドさ。すげえ。オランダの死の路地とはアメリカのことだったのか!

(予想と異なる音楽が飛び出して頭が混乱しています)
 



ただ「ここはストーナーロック的だな」と思ったところがひとつあって、それは曲がすごく長いところ。アルバムの曲中、半分が5分超え。10分ある曲もあるし、なんならアルバムの1曲目が8分ある。


ただ、聴いてみるとプログレ的曲展開もそこまでなく(ただ、最後の曲「The Sewage」はかなりKing Crimson的プログレ展開だったけど)、ドゥームメタル的な曲でもない。ただただ「セッションしてて気がついたら曲が長くなってた」感のある展開なのだ。


僕もセッションや1人で即興ライブをやった事があり、お酒を飲んで気持ちよくなりついつい同じフレーズを5~6分ループで演奏してしまうことがあったのですが、この人達はまさにストーナーよろしく全員がバンドサウンドに気持ちよくなってる。全員キマってる。聴いてたらだんだん僕も楽しくなってきた。一緒にベース弾いていいですか?


と、バンドが演奏中全員キマっているかはさておいて、ハードロック的サウンドアプローチにループセッション的トリップ要素も盛り込みつつ、時折魅せるファズサウンドのリフでストーナーの源流は外さない。


これは是非ともライブハウスでお酒を飲みながら…いや、お酒もいらないかもしれない。文字通り「音に酔う」事が出来る。ファズサウンドで自然に身体が横に揺れ、踊れてしまう。


この音の軽さも、ストーナーロックビギナーにはかえってとっつきやすいかもしれない。


Black Sabbathが聴きづらかったり、Sleepが重たく感じてストーナーロックを敬遠していた人は、Death Alleyを聴いてみたらいいんじゃないでしょうか?きっとこれまでのストーナーロックのイメージを変えてくれるはずなんで!


以上でレビューを終わります。読んでいただきありがとうございました。



いやー、それにしてもストーナーロックは奥が深い。


結果的に予告通り闇堕ちはしなかったものの、世の中にはまだまだ知らない音楽が多い。特にストーナーロックは自分としては未開拓のジャンルなので、これからもどんどん色んなバンドを聴いていきたいですね!


(自分から闇に堕ちに行っていること。そして、このストーナーロックに対する感覚の麻痺こそが真の「闇堕ち」な事を、僕はまだ気付いていない。いや、認めたくないのかもしれない…)


続く!

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WRITER

田中千秋楽​

Tanaka-Senshuraku

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Neji Sakurai

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