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2018.6.16  櫻井螺子

​【アルバムレビュー】

宇宙ってすげえな!

Fu Manchu「Clone of the Universe」(2018)

ストーナーロックで検索をすると、様々なバンドを見つけることができる。

Black Sabbathはもちろん、Kyuss,Monster Magnet,Sleepなどの名前は容易に見つかるだろう。いわゆるストーナーロックの定番とされるバンドだ。今回紹介するFu Manchuも定番とされるバンドのひとつだ。

引用元: GRIND ON THE ROAD

 

さて、このFu Manchu。よくロックンロールだとかブギーだとか、ドライブに最適だとか言われている。しかし、それは今は昔の話だ。昔のアルバムは車関係のジャケットが多く、曲も楽しくてノリノリなものも多い。YouTubeで検索しても楽しい曲がたくさんヒットするし、ライブでも楽しい曲をたくさん演奏する。

 

ここ数作はシリアスでへヴィな曲の比重が高い。昔からそのような曲はあったものの、ファーストアルバム以降は少なめだった。太陽の光が届いていないような印象を受ける。

 

それでも変わらないFu Manchuの良さもある。いかにもファズって感じの2本のギターが絡み合う様や、ゆっくりだったりスピーディーだったり縦だったり横だったりするノリの良さ。ライブで聴いたら絶対楽しそうな曲たち。それらはファンの心を常に掴んで離さない。

 

そんな彼らの最新作「Clone of the Universe」が4年ぶりにリリースされた。

 

今作の特徴はなんといってもアルバムのトリを飾る「Il Mostro Atomico」だろう。発売前から各地で話題になったFu Manchu最長の曲だ(ちなみにRUSHのAlex Lifesonが参加)。

これまでも8分くらいの曲はあったが、この曲はなんと倍以上の18分もある!

だが、これだけでこのアルバムの印象を決めつけてしまうのはもったいない。

 

作風としては前作である「Gigantoid」に近しいものを感じる。しかし前作はバラエティに富み、シリアスでありながらもキャッチーで、初めての人からそうでもない人まで幅広く受け入れやすい作品だ。今作はそれほどキャッチーさが強いわけではない。

 

M1「Intelligent Worship」からリードギターであるBob Balch(アーティスト写真でポケットに指を突っ込んでいる髭の人ね)が炸裂しまくる。なかなかここまで弾きまくってるのも珍しい。イントロの胡散臭いフレーズがサビになるとカッコよくなるのも素敵で楽しい曲。車で爆走って雰囲気じゃないけどいつものFu Manchuだ。たぶん今の彼らは車じゃなくて宇宙船に乗っているのだ

 

M2「(I've Been) Hexed」ではイントロで壮大で不穏なフレーズが聴ける。この曲でもBob Balchのギターが炸裂する。かっちり決まったファズとなんとなくゆるい感じはまさしくFu Manchuだ。「Hex」ってのは辞書で調べたらたぶらかされるという意味らしい。

ストーナーだね。

 

Fu Manchu - I've Been Hexed Official Audio

 

続いての「Don't Panic」は疾走感溢れる曲だけどこの曲もBob Balchのギターが炸裂する。

炸裂しすぎじゃない?

いや、悪い意味じゃないけどね。

彼が加入してからはギターソロが目立つようになったけど今作は凄く目立つ。そのおかげか他の作品よりも曲がシリアスでモダンに聴こえるのだ。

 

その後はゆっくりめな曲が続いていくが休んでいる場合ではない。どれも方向性が違う。M4「Slower Than Light」は最初から最後までヘッドバンキングが止まらないしゆっくりなだけでは終わらない。もちろんBob Balch の緊張感たっぷりのギターソロもいい。M5「Nowhere Left to Hide」のまるで鐘でも叩き付けたかのようなベースと2:40くらいからのファズの音がたまらない。へヴィだね。

 

タイトルトラックでもある「Clone of the Universe」は今のFu Manchuを凝縮させたかのような曲だ。とりあえず聴いてみて欲しい。カップラーメンが出来上がるほどのコンパクトな演奏時間だが、中身は全然コンパクトじゃない。

 

Fu Manchu - Clone of the Universe Lyric Video

 

そして目玉となるM7「Il Mostro Atomico」最初のリフ、凄い。なんじゃこりゃー!

この激へヴィでスローなリフは果てしのない宇宙を表しているに違いない。この曲はいくつかのリフの繰り返しがずっと続くが、プログレッシブな難解さはあまりなく、わかりやすい起承転結になっているので18分はそれほど苦ではないだろう。是非手に取って聴いてみて欲しい。宇宙ってスゲーなあって思ったもん。人間の力でなんとかできるものではないね。

 

いやー、

 

宇宙ってすげえな!

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田中千秋楽​

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