「ネズミを思い浮かべてください」

 

そう言われたら、

大抵の人間は白くて可愛らしいハツカネズミか、

美しさが写真に写らないことでお馴染みドブネズミ辺りを思い浮かべることでしょう。

そこで「俺はハダカデバネズミ!」だなんて言うヤツは、

相当なヘソ曲がりか、もしくはハダカデバネズミご本人か。

「ネズミ=ハツカネズミorドブネズミ」

それがステレオタイプ、典型例というもの。

みんながそれに対して思い描くイメージの平均値なのだ。

そして、

 

その枠から大きく外れた、たとえばハダカデバネズミのような存在を

人は“亜流”だとか“邪道”だとかと呼ぶわけです。

 

今回、LRQ主宰Suyama Shoheyがアタクシにレビューを依頼してきたストーナーミュージックはLionize「Nuclear Soul」(2017)。

彼がその依頼文に添えてきた説明は単純明快でした。

“こいつらはストーナーの亜流も亜流”

 

おい。

このレビューコーナーまだ2回目だぞ。

 

俺はストーナーの“ス”の字も知らないふにゃちんポップス野郎だってのに、王道を征かせる前にどんな小道に迷い込ませるつもりだ。

まぁでも、

亜流とか邪道って言葉に惹かれてしまうのは、

アタクシどもヘソ曲がりハダカデバネズミ系男子たちの悲しき性。

 

ストーナーの亜流の亜流とやら、聴いてみようじゃないか。

 

 

まずはバンドのプロフィールから。

アメリカ合衆国の東海岸、

メリーランド州で2004年に結成された4人組ストーナーロックバンド。

ご尊顔はこちら

あれ?

 

前回紹介したMiss Lavaのガチムチ兄貴っぷりに比べると、何だかだいぶスッキリしてない?

アメリカのその辺の兄ちゃん感。(アメリカのその辺なんて知らんけど)

 

 

Wikipedia先生の言うところの「バイカーやトレーラー文化といったアメリカ的なワイルドさを表現」という、ストーナーロックの典型的イメージから既に外れてる。

 

 

写真中央のボーカルさんなんてめっちゃ爽やかなアイドル感出ちゃってるじゃん!

こんなイケメンがフロントマンだったら日本でも人気出ちゃうんじゃないの!?

あぁ、

またボーカルはヒゲのデブなパターン

 

なのね。。。

 

 

すごくアメリカ的なワイルドです本当にありがとうございました。

さっきのイケメンさんはキーボード担当のクリス・ブルックス氏でした失礼。

・・・って、キーボードいるの!?

などと、見た目にも編成にも既に漂う亜流感に戸惑いながらも、再生ボタンを押す。

うん、

 

これ、ストーナーロックじゃなくね?

 

 

いや、

上で「ストーナーの“ス”の字も知らない」と自分で宣言してたお前に何がわかるんだって話ですが、

 

でも何となくアタクシにだってあるわけよ。

“ストーナーロックといえば(多分)こんな感じ”というイメージがさ。

 

少なくともそれとはかけ離れてる。

 

それはキーボード(オルガン音色多め)が主張してることで、

ギターがいかにもストーナー的なリフワークではなくバッキングに徹してる場面が多いとか、

 

M2「Face of Mars」の冒頭やM6「Election Year」の中盤に突如出現するゴキゲンなサンバパーカッションやホイッスルだとか、

 

そういう音楽的な面も然りなんだけどさ、

 

なんか、テンション高すぎない?

ブルージーなバラード曲とかもあったりするものの、

 

洗脳されそうなダウナーなリフが延々と続くような曲は皆無。

ヒゲデブの古き良きハードロック臭の強いボーカルと、

ギターとオルガンの絡み合う煌びやかなサウンドが徹頭徹尾騒ぎまくり。

 

 

どんぐらいテンション高いかって?

 

これ見てよ。

 

M11「Blindness To Danger」のMV。

超低予算に殺されるヒゲデブ。

 

 

外人がやってるから何とか見れちゃうけど、これ日本人のバンドが日本で撮ってたらあまりのダサさに2ちゃんねるに晒されて逆にバズったりしちゃう類の映像よ。

 

そして、

彼らはおそらく、

Stoner(麻薬常用者)でテンションが高いんじゃなくて、フツーにテンションが高いタイプの兄貴たち。

 

 

アルバム内の楽曲でも、

M4「Power Grid Blues」でのフー!フー!(裏声)というコーラスワークなど、終始楽しそうで何だか愛おしく思えてくる。

 

もちろん、ただただ騒ぎ散らしてるだけじゃない。

 

 

キャッチーなサビメロと不穏なシンセリフが対照的なM1「Darkest Timeline」、

 

オルガンとイントロの複雑なユニゾンから幕開けるM7「March Of The Clones」(“クローンたちの行進”は終盤で大暴走して大変なことになる)、

 

M10「Nuclear Soul」で一度落とした後にラストを飾るのが先述のバカ騒ぎナンバー「Blindness To Danger」と、アルバム通してバラエティ豊か。

 

この兄貴たち、めっちゃ楽しいぞ!!

 

そんなナチュラルハイ兄貴たち、

 

ロンドンで毎年開催されているドゥーム/ストーナーロックの祭典“Desert Fest”に今年、出演が決定。

亜流が本流にがっつり食い込んでるわけです。

 

 

そのDesert Festの公式HP上で、

ヒゲデブことネイサン・バーグマン氏の当作品「Nuclear Soul」に関するインタビューが引用されていた。

 

 

“With this album we abandoned all preconceived notions of what we do.”

(このアルバムにおいて、俺たちは既成概念を全て捨てた。)

 

“We abandoned all things that we thought we should or shouldn’t do and just wrote songs.”

(俺たちは、全ての“こうすべき”や“そうしないべき”を切り捨てて、ただただ曲を書いたんだ。)

何がストーナーで、何がストーナーではないか。

そんなことはどうでもいい。

 

ステレオタイプにハマらず、独自のスタイルを貫くLionizeの「Nuclear Soul」は、

ストーナーロックという枠組み自体に豪速球でハダカデバネズミを投げつけてくる、

最高にクールな兄貴たちの魂の咆哮だ。

MAGAZINE

2017.4.21 ヤマダヒロミチ

​【アルバムレビュー】 Lionize「Nuclear Soul」(2017) 

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田中千秋楽​

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